宇宙人の可能性
──そんなところから、銀色の宇宙人がもう来ているかもしれないのか……。
「昔からよくいわれる“グレイ”のような二足歩行の宇宙人を想像していますか? あの姿は、まさに“地球中心主義”の考えに基づいたものですよ」
──そうか! わたしたちは無意識に、頭があって足があって、目が2つで……と、人間と同じような姿の宇宙人を想像してしまっているんですね。
「そもそも、わたしたちのようにDNAを持っていて、炭素でできた生物なのかもわかりません。シリコンでできているかも。形にしろなんにしろ、予測がつかないんです」
──透明で、見えない宇宙人の可能性もありますよね。
「姿かたちがなく、知的生命体と認識できないかもしれませんね。脳の意識をコンピュータの仮想空間にアップロードしてしまえば、AIのようにインターネット空間を生きていられるんですから。そうなったらワームホールでワープしなくとも、電波通信で、光の速さで飛んで来ることができます。不老不死を求めて、そんな宇宙人がいる可能性もあります」
──でも、姿かたちがないなんて、いくら不老不死だとしても何が楽しいのか……。
「人間とは別の欲望を持っているかもしれませんよ」
──最近はコロナウイルスの話題ばかりで不安ななか、宇宙のロマンあふれるニュースに久しぶりにわくわくしました。でも、アメリカも国家非常事態宣言が出されて大変な状況なのに、なぜあえて今、この映像を正式に公開したのでしょう。
「この映像は何年か前に正規ではないルートで流出し、さまざまな憶測がされていましたね。今のように人々が自粛を求められ、家でSNSと向き合う時間が長くなると、不安な気持ちがふくれあがって妄想が大きくなり、根拠のない騒ぎが起きる危険性があります。そういったことを防ぐための、火消しの意味合いはあると思います」
──たしかに、ノーコメントを貫き通されたほうが「国は何か恐ろしいことを隠しているの?」と疑心暗鬼になりますね。
「アメリカは情報公開の国なので、民衆が求めれば開示する、ということでもあります」
──タイムリーなことに日本でも今月、自衛隊初の「宇宙作戦隊」が発足しました。宇宙ごみや人工衛星を監視する目的としていますが、UFO対策なのでは? と疑いたくなります。
「可能性はありますよ。本当のことを言うと大騒ぎになりますしね。UFOは地球に対する脅威ですから、どちらにしても対策はしておくべきですね」
竹内先生との対話を通して、今回のUFO問題がコロナウイルスの騒動とも重なって見えた。宇宙人が攻めてくるというおそれと、トイレットペーパーがなくなるというおそれは、いずれも不安が生んだ妄想だ。
私たちの思い込みは本当に「科学」に基づいたものか、1度、立ち止まって考えることが未来への第一歩なのかもしれない。