■有名なUFO目撃事件

 円盤型の目撃例が増えるのは1947年から。アメリカ人実業家が自家用機で飛行中、9個の奇妙な物体を目撃。「皿のようだった」との証言が大々的に報じられ、空飛ぶ円盤(フライングソーサー)という言葉が広まった。実は同じ1947年に歴史上最も有名なUFO事件が起きている。アメリカのニューメキシコ州ロズウェル付近で、墜落したUFOと宇宙人を米軍が回収したとされるロズウェル事件だ。当時は「UFOの正体は気象観測用気球」とされたが残骸の回収に関わった軍人が1978年に「異星人の乗り物を極秘裏に回収した」と証言し大騒ぎに。その後の政府報告書で否定されるが真偽は今も不明。一方、世界中で民間機や空軍機のパイロットらによる目撃例が相次ぎ、日本でも1986年、日本航空の貨物機がアラスカ上空でUFOに遭遇した事件が話題になった。

■UFO目撃談の信憑性

 2007年、フランス国立宇宙研究センターが約50年間に寄せられた未確認飛行物体の目撃情報について発表。約1600件のうち、9%は人工衛星や隕石など具体的に立証できる現象、33%はその他の説明がつく現象、30%は信憑性が低い情報、残る28%は「正体不明」としている。一般的に「誤認」と説明されるケースは、明滅する人工衛星や夜間の飛行機、遠くの車のヘッドライト、観測気球などを見間違えた例。自然現象では蜃気楼、流星、火球、プラズマによる発光現象。写真解析の結果、実は鳥や昆虫だったと判明したこともあるそう。UFOブームの時代には「合成写真」も多かった。一方、正体は不明だが、「実験中の秘密兵器ではないか」という説もある。

《PROFILE》
竹内薫先生 ◎1960年生まれ。東京大学教養学部教養学科および理学部物理学科卒業。マギル大学大学院博士課程修了。理学博士(Ph.D.)。大学院を修了後、サイエンス作家として活動。著書は100冊を超える。『99.9%は仮説~思い込みで判断しないための考え方』(光文社)は40万部超のベストセラー。近著に『竹内薫の「科学の名著」案内』(徳間書店)や『「ファインマン物理学」を読む』シリーズ(講談社)など。TBS系「ひるおび!」などテレビでもおなじみ。

(取材・文/植木淳子)

(週刊女性2020年6月9日号掲載)