「コトバスケット」のコーナーへようこそフム!
僕・フムッフィーは、山奥で暮らしていたアンゴラウサギ。見た目の違いから野ウサギたちにいじめられて山を逃げ下り、東京の路地裏に身をひそめてからは、孤独な日々を過ごしていたフム。
ある日の夜、ビルの隙間に、紫色に妖(あや)しく光る祠(ほこら)を発見。恐る恐る覗(のぞ)いてみると、真っ青な毛並みを持つ、僕と同じアンゴラウサギのお姉さんと目が合いました。
その瞬間。お姉さんの宝石のような瞳がキラキラと輝きだし、僕は光に包まれて……。そこから先は、覚えていないフム。ただ、次に目を覚ましたときには、なんと。人間の言葉がわかるようになっていたフム〜〜!
それから僕は、道ゆく人々に近づいて耳をぐ〜〜んと伸ばしては、彼らの会話を楽しむようになりました。ときには耳を塞ぎたくなるような罵詈雑言(ばりぞうごん)も飛び交っていたけれど、それ以上に、知らない世界を教えてくれる言葉たちにたくさん出会えたフム。
そのうち、フムニュー編集部のYさんに出会い、ウサギ好きの彼女は僕をオフィスへ連れていきました。フムニューのメンバーはみんな、自分たちの言葉を理解できる僕のことを気に入ってくれたみたい。今ではときどき編集部に出入りしてお仕事を手伝っては、SNSの使い方を教わったり(Twitterでのエゴサにハマってます!)、おいしいご飯とお酒をごちそうになったり。これまでとは比べものにならない、充実した日々を過ごせているフム。
ところで、編集部のメンバーは現在4人。いい意味で“教えたがり”のみなさんは、人間界に興味津々な僕に、毎日あれやこれやと、言葉のシャワーを浴びせてくるフム。とても勉強になるのだけれど、僕は聖徳太子じゃないから、すべては拾いきれない。でも、金言もあるはずだもの、フムフムしそびれちゃ、もったいない!
……ということで、編集部のみなさんがイチオシする言葉を、ここに集めていくことにしました。名付けて「コトバスケット」。バスケットを彩る言葉たちの中から、一日一言、あなたにもお届けしていきます。個性豊かなメンバーが織りなす名(迷)言集、ゆる〜くご堪能いただけたら光栄フム!
最後に。せっかくだから、僕が覚えた言葉の中から、いちばん大切にしているものを紹介させてください。編集部での取材に同行させてもらう機会も増えてきた僕に、クロッフィー姉さんが送ってくれた言葉です。
「他人の物指し 自分のものさし それぞれ寸法がちがうんだな」(相田みつを)
僕は長らく、ウサギ界の、しかも、ちっぽけなコミュニティーの中で、周囲の言動に一喜一憂して生きてきたフム。でも、東京でさまざまな人々の会話を聞くうち、考え方も感じ方も十人十色だとわかった。だから、自分と意見が違う相手がいるのは、当たり前。それでも、相手の立場に立って物事をとらえながら、相互理解を目指していくことで、新たな視点が芽生えたり、相互理解が深められたりするのだと実感しています。ここのところ、取材が始まるたびにこの言葉を思い出しては、クリアな気持ちで相手の話を伺うようにしているフム。
コトバスケットを通して、みなさんの心が少しでも豊かになってくれますように。(フムッフィー)