2011年11月21日に他界した噺家の立川談志さん。生前、話題に事欠かない方でした。

 いろんな「言葉」を遺しています。その中のひとつが「バカ」の定義。シンプルですね。

 東京の落語界は、見習い、前座、二つ目そして真打と縦社会。二つ目までが、いわゆる制度化された「下積み」時代。そこで「気働き」ができるか否か、みている人はみているという世界です。

 気働きができるとは、早い話「気が利く」ということだそう。厳しい師匠たちから、下積み時代に、ここを仕込まれるそうです。

 例えば、落語会などで師匠と地方へ一緒に出かけて、不測の事態が起こっても瞬時に事情を理解して、いかに対応できるか? それが、バカかそうでないかの違いというワケ。

 談志さんのライバルでもあった古今亭志ん朝さん(2001年に没)は「落語家はバカにはできません! かといって利口はやりません」と枕(落語の本筋に入る前に話す、イントロのようなもの)で話していましたが、これもなかなかの名言です。(文)