みんなを虜にする「迫真の演技」

 くまモンは「くまモン隊」の隊長でもある。アテンドのおにいさんやおねえさんと一緒に行動する。拠点になっている「くまモンスクエア」では、毎日のようにステージが繰り広げられ、アテンドたちとコントのような寸劇を繰り広げることも。

「くまモンスクエア」のステージで可愛らしくポーズを決めるくまモン 撮影:亀山早苗

 お花見が話題になったとき、くまモンはいきなり寸劇を始めた。意気揚々(ようよう)とお花見会場に来たが、急にもよおしてしまう。慌ててトイレに駆け込むが、4つある個室は全部、埋まっている。身体をよじって我慢するくまモン。「大丈夫?」とアテンドのおねえさんが心配げだ。だんだん、くまモンが切羽詰まってきて、ドンドンドンドン、すべてのドアをノックする。ようやく1つ空き飛び込むと、ホッと安心したような表情で個室を出てきた。

「じゃあ、お花見に行こう」

 おねえさんはそう言うが、くまモンは4つのうち、1つの個室がまだ空いていないことが気になっているこんなに長く入っているのはなぜか、中で何をしているのか、というのだ。

 お花見の話は進んでいくが、時折トイレに戻り、まだ閉まったままの個室をノックする。「執着するねえ」とおねえさんに笑われても、気になってしかたがない様子。このドラマ(!)、くまモンの迫真の演技によって、会場は笑いの渦に包まれた。観客まで「あの個室の中の人、大丈夫だろうか」と心配になるほど。くまモンが仕掛けた「ドラマの世界」に、いつしかこちらもはまっていくのだ。