“アツい男”でおなじみの元プロテニスプレイヤー・松岡修造さんが、自身の著書『松岡修造の人生を強く生きる83の言葉』の中で紹介している言葉です。
大学生のとき、オーケストラ部でトランペットを担当していた私。定期演奏会で、光栄にもソロを吹くことになったけれども、いちばん高い音が、どんなに練習しても、いくら力を込めても、きれいに出てくれないのです。
毎日毎日、練習を重ねるうちに、唇はカサカサになるし、酸欠すら起こしそうになるし。はじめは「絶対に最高の演奏にするぞ!」と勇んでいたものの、「まあ、この音が微妙でも、他でカバーすればいっか」「できないもんはできないよ、これだけやっても無理なんだから」という諦めの気持ちが膨らんでいきました。
そんなとき、尊敬する先輩が贈ってくれたのが、前述した修造さんの著書です。そして、冒頭の言葉を読んだとき、折れかけた心にギュイーン!と、一気にエネルギーが注入されたことを覚えています。
たゆまぬ努力をしたとしても、なかなか越えられない壁はきっとある。一生、崩せない壁も、もちろん存在するかもしれない。でも、逆に、完全に白旗を上げてしまわない限りは、次の一打で壊せる可能性もあるんですよね。
だからこそ、カッコ悪くても、苦しくても、「あと1回、あと1回!」と、もがき続ける自分でありたい。そう心に言い聞かせて、唇が裂けるまで練習を続けてみました。はじめて高らかにその音が鳴ったときには、思わずガッツポーズし、飛び上がってしまいました。
迎えた本番。奇跡的にノーミスで吹き終わったあと、鳴り響いた拍手のシャワーを思い出すたび、今も胸が熱くなります。Mr.修造、どうもありがとう。今後待ち受けるどんな壁に対しても、修造魂で「どんとこいや!」と向かっていけたらいいな……いえ、向かっていきます!(横)