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芸能

ビートきよしと錦鯉・渡辺隆が語る、“じゃない方”であることの幸せとプライド

SNSでの感想
左から渡辺隆(錦鯉)=撮影/北村史成、ビートきよし=撮影/佐藤靖彦
目次
  • 魅力的な相方を発掘して爆進する
  • 自分優先ではなくコンビ単位で考える
  • たけしみたいなことはやらない
  • あの相棒じゃなきゃ、売れてなかった

 スポットライトを浴びてこなかった男性が主人公の、不倫を題材としたドラマ『じゃない方の彼女』が話題です。そもそも“じゃない方”といえば、お笑いコンビやお笑いグループ、バンドなどにおいて、キャラ立ちできなかった人物のことでした。しかし、“じゃない方”だったからこそ、幸せだった、という見方もあるはず。当事者たちの証言から、その生き方をなぞります。

 現在放送中のドラマ『じゃない方の彼女』(テレビ東京系、毎週月曜23:06~)でそのタイトルに使われているように、「じゃない方」=「コンビやグループなどで、目立っていない存在」という言葉は、世間一般にも浸透した。

ドラマ『じゃない方の彼女』主演の濱田岳と小西真奈美

 知名度や収入面などの格差ができやすく、コンプレックスに捉われがちな言葉である。どちらも“じゃない方”ではない漫才コンビのおぼん・こぼんは、お互いが長年、我を張り合い続け、その不仲が話題になってしまった。多くのお笑いコンビに起こる問題だ。

 では、実際の“じゃない方”側の人たちは、自らの立場についてどう感じているのだろう。

 まず、“元祖・じゃない方”ともいうべきツービートのビートきよしに聞いてみた。

『どっちが幸せか?』って言われたら、じゃない方が幸せなんじゃないかなあ。今の相棒は常に仕事に追われてて、何が楽しいんだろう? って思うから。俺の場合は好き勝手なことを人目を気にしないでやっちゃうから、こっちの方が幸せだよなあ……」(きよし)

魅力的な相方を発掘して爆進する

 1980年代に巻き起こった『MANZAIブーム』で天下を取ったともいえるのが、ビートたけしとビートきよしによるツービート。きよしがたけしに声をかけて組んだ2人だ。

“こいつ面白いな”と、俺が気に入ったんだよね。あいつは東京生まれで学があるけど、俺は山形の田舎生まれで世間知らず。そんな2人のギャップも面白いと思ったし。でも、コンビを組んだはいいけれど、相棒は本当に、はちゃめちゃなの

 きよしが取ってきた仕事をたけしは平気ですっぽかし、仕事場に泥酔状態で現れることも。クレームばかりつけられていたという。

「だけど、舞台に立つと本当に面白い。幅の広い知識とか、ガキ大将がそのまま大きくなったような個性とかね。

 あのころ、あいつは人生を模索している途中だったみたいで、芸人は腰掛けみたいな感覚だったと思うよ。でも、とにかくテレビに出るような芸能人になりたくて上京してきた俺とすれば、この存在はなくしたくないわけじゃないですか。怒っちゃうとはじけて終わりだし、『うまくゴマすってなんとか舞台に引っ張り出そう』と思って続けてたね」(きよし)

1981年のツービート (c)共同通信

 一方、2020年の『M-1グランプリ2020』で4位となり、世間に絶大なインパクトを残した錦鯉は、ツッコミの渡辺隆がボケの長谷川雅紀に声をかけて生まれたコンビだ。結成当時、渡辺は33歳で、長谷川はすでに40歳であった。この年齢は気にならなかったのか? 渡辺に聞いた。

まったく気にならなくて、それどころかもっと年をとっていてほしかったです。雅紀さんが年をとるほど面白いので。寿命との兼ね合いでもありますね(笑)」(渡辺)

 きよしも渡辺も魅力的な相方を発掘し、売れた。目利きの能力が証明された形だ。

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