2021年11月9日に、惜しまれつつもこの世を去った瀬戸内寂聴さん(享年99)。不倫や出家などを経験し、“愛に生きた”というイメージも強い彼女ですが、大正から令和まで4つの時代を生き抜くなかで、なんと400冊以上もの著書を執筆。豊富な人生経験を通して、私たちに、たくさんの金言を残してくれました。

 冒頭の言葉は、1993年の3月に休刊した雑誌『主婦と生活』の最終刊号に掲載された、寂聴さんによる寄稿エッセイの一節です。約47年間続いた雑誌を労い、《あなたたちは、もう『主婦と生活』から学べるだけ学んで卒業したのです》とづづられたあとに、この一文が続きます。

 今から30年近くも前に放たれた言葉ですが、まるで、現代の情報社会に生きる私たちに向けて発信されたかのような一言ではないでしょうか

 テレビや雑誌、新聞だけでなく、スマホを開けば常に、次から次へと新しい情報が流れてくるようになった昨今。簡単に手に入れられる情報量が多いことはありがたくもありますが、だからこそ、自分に必要な情報、身になる情報をきちんと取捨選択できる智慧を、養っていかなければいけませんね。(横)