ある程度年を重ねてくると、10代、20代の無軌道でもハツラツとしていた自分に戻りたいなと思ったり、過去の出来事を後悔したり、やり直したいと思うことが増えてきました。過ぎ去った時間を惜しんでしまうことは、誰にだってあるのではないでしょうか。
いまの日本では、年を取ることは忌むべきことで、老いより若さ、という価値観が根強いと思います。年を取ることに不安と嫌悪が大きいからこそ、相対的に過去が輝いて見えてしまうのかもしれません。
でも、吉本ばななさんのこの言葉は、そんな価値観をクルッと裏返してくれるような力があると思いました。生き続け、老いていくからこそ、美しい瞬間に次々と出会うことができる。そんな瞬間に巡り会えることを願って、ちょっとしんどいときも、悲しいときも、一日一日を積み重ねていきたいなと思います。(知)