国語の教科書でもおなじみ、詩人の谷川俊太郎さん。誰もが認める言葉のプロである谷川さんからこの一言が出るとは驚きでしたが、きっと谷川さんが詩を作るときは、いつも言葉以上の漠然とした感情や観念を、言葉に翻訳していく作業をされているのでしょう。

 みなさんも「この気持ちはどうしても言葉にできない」「完璧には説明できない」と思ったことはないでしょうか? すごく楽しいことや悲しいことがあって日記をつけるとき、大切な人に手紙を書くときなど、私も自分の気持ちの半分も言い表せないなと思ったことが何回もあります。そんなときに、「言葉以上のもの」の存在を身にしみて感じます。

 人間は動物と違って言葉に頼りすぎているし、信用しすぎている面が大きいと思います。時には黙って自分の感情を見つめ直したり、自然の中にただ身を置いてみることが大切なのかもしれません。(知)