数年前からでしょうか、SNSでお寺の掲示板に書かれた言葉を撮った写真投稿がバズっているのをよく見かけるようになりました。掲示板を使った布教は「掲示伝道」と呼ばれ、100年以上の歴史があるのだそうですが、最近ではユーモアをまじえた柔らかい言葉も多く、それが老若男女の心に刺さっているのだと思います。
『仏教伝道協会』ではこの人気を受けて、2018年から毎年「輝け!お寺の掲示板大賞」を行っているのですが、2021年の受賞作品の1つが今回の言葉です。選者からは《『置かれた場所で咲きなさい』という本が以前ベストセラーになりましたが、置かれた場所で結果が出ないことも当然あり、そのことで悩んでいる方々も大勢いるのではないかと思います。私たちはたとえどこに逃げても、仏様のお慈悲の中なのです》との講評が。頑張っても報われない日々に疲れてしまった人たちの心の支えになるような、優しい言葉だなと思いました。
同大賞の担当者によると、コロナ禍になってからはそれまで定番だった人生に活を入れるような厳しい言葉が減り、人々の不安を和らげる言葉が増えたといいます。それだけ人々の心が疲れているんだと、改めて実感します。無理できないときは、逃げていい。マイペースに、スローで行こう。自分の心を守るためにも、忘れずにいたいです。(知)