先日書いたリリー・フランキーの〈理想の暮らしは、言葉のない暮らしだ。〉からの連想で、『言葉のない世界』という田村隆一の詩集を思い出した。

戦後最高の詩人と言われた田村隆一の名詩集『言葉のない世界』(1962年、昭森社/高村光太郎賞)が新装復刊されていた。『詩集 言葉のない世界』(港の人、2021年) ※画像をクリックするとAmazonの紹介ページに飛びます。

 といっても、“意味”はまったくつながらない。ただの連想だ。

 全10篇の詩集の最後に収められた表題詩『言葉のない世界』、その最後の2行が、

ウィスキーを水でわるように
言葉を意味でわるわけにはいかない

 僕の大先輩で大親友でもあった人から、何度も聞いた懐かしいフレーズ。これは、この言葉をそのまま味わってほしい。意味で割るわけにはいかないので。

 詩と聞いて、よくわからないと言う人がいるけど、そもそも詩に限らず、いろんなことを「わかる」ことは当たり前だ、と思っている自分の常識を一度、疑ったほうがいいと思う。

 詩に限らず、簡単にはわからないことを、ずっと考える。自分なりの“解釈”を探し続ける。そこから“自分の世界”が広がっていく。(DD)