2007年から『BE・LOVE』(講談社)で連載中だった末次由紀さんの人気漫画『ちはやふる』が、残り1巻(49巻)で完結するという。娘が小学生の頃から一緒に単行本を愛読していて、かるた会の練習を見学しに行ったこともある。その後、単行本を買うのは32巻でストップしてしまったけど、末次さんが描く名シーン、名台詞には何度も泣かされた。

『ちはやふる』の名言は、ネットを検索すればたくさん出てくるが、それらを見て気づいたのは、言葉だけを切り取られると説教臭くて違和感しかないこと。物語の名台詞はキャラクターたちの関係性の中で語られるからこそ、生きた言葉として心に響くのだろうか。

 と思いつつも、ベタなこの台詞をピックアップ。

〈子供たちを教えていても 自分を振り返っても思う〉
〈根気強く粘り やり続ける以外に 自分を変える道はない〉

 3年生になった主人公・綾瀬千早が所属する瑞沢高校かるた部。全国大会団体戦で連覇を狙うが、昨年の決勝で熱戦を繰り広げ勝利した名門富士崎高校に準決勝で敗れてしまう。決勝戦と3位決定戦を戦う4校。そこにいるのは皆、どんなにきつく、苦しい思いをしても、かるたをやめずに粘り続けてきた子ども達だった。そんな彼らを見て、富士崎高校の顧問を務める桜沢翠先生が言ったのがこの言葉。

 この場面のこの台詞をすてきだなと思っても、怠け者の僕がもっと努力しようと思うことはない。でも、自分は努力できないけれど、努力できる人間は美しいと思う。(DD)