心理学者で文化庁長官も務めた河合隼雄さんが、将棋の永世名人の資格を持つ谷川浩司さんとの対談を収めた『無為の力』(PHP研究所、2004年)で紹介した逸話。

 新幹線の切符売り場で「のぞみはありませんか?」と尋ねた河合さんは、駅員から「のぞみはありませんが、ひかりならあります」と言われ、感激したのだそう。

「思わず、『望みはないけど、光はある!』と大声で繰り返してしまったんですよ。そうしたら駅員さんが『あっ、“こだま”が帰ってきた』」

 河合さんは「日本ウソツキクラブ」を作って会長をやっていたこともあるほど冗談好きだったそうなので、最後のオチを読むと逸話自体がジョークかなと思ってしまうが、心が重いときは、くすっと笑える名言が必要ですよね。(DD)