「近くのイベント会場でライブがあったから、今日はフリーの客が多かったな」

 とある飲食店の主人がこんなことを言っています。違和感を感じる読者の方はいますか?

 私は「フリーの客」って“予約なしで訪れた客”のような業界用語なのかと思っていたのですが、実は「ふりの客」の誤用なのだそうです。

「ふりの客」……!? 恥ずかしながら初耳でした。

「ふり(振り)」とは、紹介や予約なしに出し抜けに来る客(いちげんさん)のことを指します。もとをたどると近世時代に料理屋・旅館・遊女屋などで使われていた言葉で、歌舞伎のセリフにも登場するのだそうです。英語の「free(自由)」が外来語として一般的に使われ始めて以降、意味が同じようなことから誤用されるようになったのかもしれません。

 また1つ、日本語知識を増やすことができました。が、編集者としての修行はまだまだ続く……。(知)