俳句は季語が入って五・七・五、短歌は五・七・五・七・七というのはご存知かと思います。今回紹介したのは都々逸(どどいつ)で七・七・七・五。主に男女の仲を綴(つづ)ることが多く、三味線に乗せて節をつけて唄うこともあります。というかそれが本来の楽しみ方のようです。江戸時代に流行ったそうで、作者不詳のものが多いのですが、今も語り継がれているものは秀逸なものばかりです。

 これからくる盛夏の頃、昼に鳴く蝉の姿を「恋に焦がれる」様子ととらえ、夕方から夜に舞う蛍の光を「恋に身を焦がす」と表す……。

「好きだ 好きだ」と軽佻浮薄(けいちょうふはく)に口にするよりも、身体に秘めた思いで身を焦がす恋のほうが本物だよね、ってこと?(文)