私の大好きな書籍『翻訳できない 世界のことば』(エラ・フランシス・サンダース著/前田まゆみ訳/創元社刊)。タイトルのとおり、ひと言では訳せない、世界のユニークな単語たちが紹介されている本書に掲載されていることばのなかから、私が特に感銘や衝撃を受けた、お気に入りのことばを紹介させていただくシリーズ、第13弾。

 今回選んだ「MURRMA」は、ワギマン語で「足だけを使って、水の中で何かを探すこと」という意味の動詞です。

 ワギマン語ってなんや!? と思われた方も多いでしょうが、これは絶滅の危機にさらされている、オーストラリアの先住民たちの言語です。

 常に五感をはたらかせて生きているからこそ生まれたコトバなのだろうなと思います。この先、どんなに文明が発達し便利になっても、「肌感覚を研ぎ澄ませて感じる」という人間らしい行為は忘れずにいたいですよね。(横)