私の大好きな書籍『翻訳できない 世界のことば』(エラ・フランシス・サンダース著/前田まゆみ訳/創元社刊)。タイトルのとおり、ひと言では訳せない、世界のユニークな単語たちが紹介されている本書に掲載されていることばのなかから、私が特に感銘や衝撃を受けた、お気に入りのことばを紹介させていただくシリーズ、第19弾。

「NUNCHI」は韓国語で、「他人の気持ちをひそかに汲みとる、細やかな気づかい」を表す名詞です。ドロドロな心理戦が繰り広げられるドラマ作品がたくさん生まれる韓国、こんな単語があるのも、なんだか納得できます。

 私はふとした表情の動きで他人の気持ちを推測してしまいがちですが、それは気づかいというより、ただ気が小さいだけな気もします。他人の心の機微に疎くはなりたくないけれども、時には見て見ぬフリをしたり、むしろ気づかないくらいのほうが生きやすいのかもな、なんて思ったり。なんだか考えさせられる単語に出会えました。(横)