ことわざにおいて、「犬」の扱い、ちょっとひどくないですか?
「犬に論語」は「道理の通じない相手には何を説いても無駄ということのたとえ」ですが、犬でなくても人間以外のどの動物も論語は理解できないでしょうよ!
「犬の遠吠え」は「弱いものや臆病な者が、陰で去勢を張り陰口をたたくことのたとえ」として使われていますが、犬にとっての群れとのコミュニケーションや感情表現である遠吠えを勝手に「去勢張ってる」と一面的に受け取るのはいかがなものか。
あとは警察など国家権力に従う人物や職業を罵倒するときに使われる「国家の犬!」もなかなかにえぐい。「犬も食わない」「飼い犬に手を噛まれる」もわんこをナメすぎでは?
1万5000年も前からニンゲンに付き従い、かわいい姿で癒やしてくれるわんこたちに謝れーっ! ……というのは冗談ですが、ちょっと気になったのでした。
そして犬にまつわることわざを調べていて新たに知ったのが「生きている犬は死んだライオンに勝る」。「どんな偉人(ライオン)でも死んでしまったらおしまいだから、凡人(犬)でも生きているほうがいい」という意味だそうですが、これもWhy? 百獣の王と比べて弱っちい存在ということで引き合いに出されたのかもしれません。
昔の人々にとって、犬は気弱で従順で、取り立てて才能のないことの象徴だったのかもしれません。でもこれだけ愛犬家が増えて犬が家族の一員となっている現代で、もし新たなことわざが生まれるなら、もっと犬の地位は向上しているのではないかなと思うのです。(知)