ドラマや映画などで出てくるので、意味は知っているかと思います。昭和時代には、「付き合っている男女」のことをアベックと称していました。今はカップルという言い方がメジャーでしょうか。60年代や70年代の学生運動などを背景にしたドラマや映画の中の台詞で「アベック」が使われることがあり、時代を感じます。

 そんな中、タイトルなどは忘れてしまったのですが、同じような年代を描いた映画で大学生の台詞に「あの人、あなたの彼女ですか?」と問いかける場面がありました。この場面を見た私の大先輩は、あの当時は「あの人、あなたの恋人ですか?」で、「彼女」という言い方はしなかった、と感想を漏らしておりました。その方はまさに、映画の描いていた時代に大学生をしていたので、説得力がありました。

 使い古されたフレーズですが、「言葉は生き物」だし、時代を映す鏡のでもあります。ちょっとした単語のチョイスで作品のリアリティも違ってくるものなのですね。(文)