世界共通語というと英語と言う人も多いと思いますが、1887年にワルシャワ(現ポーランド)の眼科医・ザメンホフが提唱した「エスペラント語」を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。ワルシャワは当時、ロシア帝国領で、ユダヤ人、ポーランド人、ロシア人、ドイツ人などが住んでいたそうです。しかし、それぞれが異なる言語を話して対立している状態を見て、ザメンホフは心を痛め、どの民族のものでもない共通語を人工的につくり出すことを思い立ったそうです。
私も昔、エスペラント語の存在を知ったとき、実現したらさぞ機能的だろうなと思いましたが、今もって世界的な普及には至っていません。やっぱり言葉の壁は高い。
一方で、音楽は言葉や国境を超越して私たちの心にダイレクトに響いてきます。ドイツの作曲家・バッハは「音楽だけが世界語であり、翻訳される必要がない。そこにおいては魂が魂に話しかける」という言葉を残しています。音楽だけでなく、絵画などを含めた芸術全般にも言えることですが、本当にその通りだなと思います。改めて、芸術の素晴らしさや意義を思い知らせてくれる言葉です。(知)