世界のことわざシリーズです。

 これは南インドの主要言語の1つであるタミル語のことわざで、「悪意を持っている人はあなたを心配するようなふりをするが、どんな思惑を持っているかわからない」という意味です。

 このことわざを聞いて、私がまず思い出したのは、「あなたのためを思って」という言葉で、さも相手のことを思っているように見せかけて、実は自分の思惑をこちらに押し付けてくる人です。“オオカミ”は“羊”を哀れんだり、不安にさせて懐に入り込み、気がつくと羊を操縦している。世に起こる洗脳や詐欺事件などを見ていると、そういう悪知恵の働く人というのは、思いのほか世の中にいるのだなと思います。戒めにもなることわざです。(知)

出典:『勇気をくれる、インドのことわざ』帝羽ニルマラ純子=著(共栄書房)