これは自由律俳句を代表する放浪流転の俳人・種田山頭火が詠んだ一句です。「分け入つても分け入つても青い山」「ごろり寝ころべば青空」など、教科書で目にした方も多いのではないでしょうか。

 諦観と侘しさ、そしてそこかとないおかしみが感じられる彼の句のなかでも、とくに気に入ってるのが「捨てきれない荷物のおもさまへうしろ」。思い出も、現状も、しがらみも、そんな簡単には捨てられない。割り切れない人間の業を感じます。

 そういえばもう何年も前に「山頭火が住んだ其中庵に行きたい!」と思い立ち、その日のうちに深夜バスに乗り、新山口に行ったことを思い出しました。庵周辺は人っ子一人いない静けさで、山頭火が見た風景もこんな感じだったのかなあとしみじみ。その後の気分で山口→宮島→広島と山頭火風情で旅しました。山陽を訪れたことがない方は行ってみては?(福)