先日、「グレ日記」の打ち合わせに同席して、松原惇子さんに初めてお会いしたが、年齢を感じさせないエネルギッシュな人柄に圧倒された。世に出る人のパワーは違うと改めて実感。

「グレ日記 第9回」(引っ越し歴17回の「気の変わりやすい」マミーがついに実家から脱出! 新居の団地に広がっていた野良猫ワールド)には、松原さんの人柄の一端がうかがえる文章が出てくる。

 世の中にはいろいろな人がいるが、そんな中でもわたしは珍しい部類に入るだろう。何がって? わたしは他者も認める筋金入りの気の変わりやすい人だからだ。先日も家族から「えっ、また変わったの? コロコロとよく考えが変わるよね。ついていけないよ」と匙(さじ)を投げられたばかりだ。

 自慢にならないが、気の変わり方のすさまじさは、引っ越し歴を知るとわかる。24歳で離婚してから38歳で自分のマンションを買うまでに、17回引っ越している。

 引っ越すということは、仕事も生き方も変わったことになる。一般的にローンを組んで分譲マンションを買うときは一生住むつもりで買う。堅実な会社員から見たら、わたしは落ち着きのない変人だろう。そういえば、よく知り合いのオヤジから「結婚しろ」と馬鹿のひとつ覚えのように言われたものだわ。そんなオヤジは今や、妻に死なれて独居生活。

 でも、人から何を言われてもわたしは平気だ。なぜなら、わたしは人と比べて生きていないからだ。生きる物差しが違う。そのことに最近になり気づいた。

 最後の段落の文章が、ぼくにはとても心地よい。ぼくは猫好きの人としか仲良くならないが、その理由がこの言葉にある。(dd)