パリに暮らす一般人の言葉ですが、私には非常に響いたひと言でした。

 なにしろ、自称・不眠こじらせ女ことワタクシは、毎晩ベッドに入ってから、1時間も2時間も寝られないことが日常茶飯事。ひどいときには、一睡もできないまま朝日が部屋に差し込んでくることも。これ、どんなにヒツジを数えることに集中しようとしても、気づくと仕事やプライベートでの案件が、次から次への頭に浮かんできてしまう性分が災いしています。

 この言葉を発したセバスチャン・ドダールさんは、作家の金井真紀さんがパリで実際に出会った興味深いメンズだちをまとめた1冊『パリのすてきなおじさん』(柏書房刊)で紹介されている“イケオジ”のひとりです。

 セバスチャンさんは、無印良品の海外向けブランド「MUJI」のアラフィフ社員で、妻、娘、2匹の猫と5人(?)暮らし。もともとシンプルでベーシックなデザインの洋服が好きだった彼のワードローブはなんと、「青か黒の長袖シャツを5枚。デニムを5本。黒いスニーカーを4足。以上!」だそう。いやはや、実にシンプル……。

 そんなセバスチャンさん、洋服だけにとどまらず「ぼくは人生をシンプルに考える」と言い、冒頭の言葉を放ったそう。

 確かに多くの人は、少なくとも私は、細かいことまであれこれ悩んだり、心配しすぎたり、小さな出来事をドラマティックにとらえたりしがちだ。でも、時間は有限。ならば考えすぎず、本当に大事なことだけに意識を向けることが必要だなと思わされました。まずは、クローゼットに広がる色とりどりのスカートたちを厳選してみたら、寝つきも少しはよくなるかしら。(横)