広島・長崎への原爆投下から77年。終戦の日間近の本日紹介するのは、原民喜による『夏の花』(1947年)の一節です。この作品は作者自身の郷里・広島での被爆体験をもとに、二度と原爆の使用を許してはならないという願いを込めて、原爆地獄のありのままを書き綴った記録文学の傑作と言われています。先日放送されたNHKスペシャル「原爆が奪った“未来” ~中学生8千人・生と死の記録~」も観ましたが、当たり前にあった日常が一瞬で吹き飛んでしまう惨状に、筆舌に尽くしがたい気持ちになりました。
 収束の見えないコロナ禍に激甚化する自然災害、ロシアのウクライナ侵攻、じわじわと広がる物価高、元首相暗殺からあぶり出された政治と宗教の問題、中国の台湾への圧力など、想像を絶する情勢が続いています。とくにロシアが平然と核の脅威をちらつかせる様に、大きな恐怖と衝撃を受けました。我々は権力に監視されるのではなく、我々が前にも増して権力を注視していくことが大事なのではないでしょうか。ひとりひとりが真に穏やかで幸せに暮らせるよう、そして全世界に夢のように平和な景色が訪れるよう、願わずにはいられません。そんなことを考える、2022年の夏です。(福)