夏の甲子園が、今年も大詰めを迎えています。

 今から16年前の主役は“ハンカチ王子”こと早稲田実業のエース・斎藤佑樹投手。圧巻のピッチングで勝ち進み、水色のハンカチで汗を拭くマウンド上の端正なルックスでアイドル的な人気者になりました。

 当時、週刊誌の編集部にいた私の印象に残るのは早稲田大学でも優勝に貢献したときの「一生何か持っているというか、こういう人生なのかな」との発言。思わず「自分で言うか!」とツッコミたくなりましたが、その秀逸な(?)コメントは記事の見出しを飾りました。

 さて冒頭の言葉は、今回の大会開催にあたり後輩の球児たちに贈ったメッセージの一節。チームの勝利のために頑張る彼らを突き放すかのかと思いきや、こう続けます。

《勝負はわからないから。おなじ夢を持った人たちのぶつかりあいだから。(中略)これから先、グラウンドでもグラウンド以外でも、君をいろんな出来事が待ち受けています》

 プロ野球では思うように活躍できず昨年、現役を引退。ですが、挫折してもなんとか前を向くことができたのは《最後まで闘い抜いた記憶》のおかげだといいます。スポーツに限らず、ひたむきに努力した日々がその後の人生の支えになることに共感する人は多いでしょう。

 現在は高校野球の指導者を目指しているという斎藤さん。監督として甲子園に戻ってくる姿も、いつか見てみたいですね。(純)