放浪の画家・山下清さんの言葉です。

 8月ももう終わりですね。夏の風物詩のひとつ、花火大会もコロナの影響で開催されない時期が続きました。今年は都内でも3年ぶりに大きな花火大会が開催されて、ワイドショーでも報じられていました。夏の夜空を彩る鮮やかな色彩。近くで見上げているとお腹に響く音、遠くから見ていると夜空に大輪が開くのと遅れて「ドン」と聞こえてくる……。花火見物は大人になってもワクワクします。

 私が子どものころ、近所の遊園地「豊島園」(2020年に閉園)が夏になると毎週土曜日に打ち上げ花火を開催していました。毎週のように友人らと近所のアパートの物干し台に上げてもらって、見物していました。住宅街での打ち上げ花火だったので、近所の家に花火の灰が降ってくるのですが、迷惑料の代わりなのか、豊島園プールの入場券などを配っていたそうです。大きな問題にもならず、大らかな時代だったのかもしれません。

 新潟県長岡市では戦争中に空襲で犠牲になった人々への慰霊を込めて、花火大会が開かれています。山下さんもその地で花火を見物し、翌年に『長岡の花火』という貼り絵を作成します。彼の言葉は、久しぶりに開催された花火大会と今なお、続いているロシアによるウクライナ侵攻、わが国の岸田首相の防衛費の「相当な増額」発言などと合わせて、心の響くものとなりました。(文)