稲が成長すると実を付け、その重みで実の部分が垂れ下がってくるさまから、「立派な人ほど、その姿勢は謙虚である」という意味をもつことわざ。作者は不詳とされていますが、パナソニック創業者の松下幸之助さん、ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんらもこの言葉を信条としているそうで、読者の皆様の中にも座右の銘にしている人が多いかもしれません。

 私は上京して10年ほどたちますが、暑さが続くこの季節になると、地元の青々と広がる水田風景が懐かしくなると同時に、中学に進学する際に父から「覚えておくんだよ」と言われたこの言葉を思い出します。

 小学6年生だった当時の自分は、「へー、面白いたとえだなあ」くらいにしか思っていませんでした。ですが社会に出てから今までを振り返ってみると、いつも自分が思い描いた理想像は、“誰にでも謙虚に接する人”だったなとしみじみ思います。「自分は今、実っているか。驕り高ぶらず、頭を垂れているか。」と、自分の生きざまを確認する言葉になっており、そのたびに、まだまだだなあと感じるこの頃です。

 とはいえ、頭を垂れるのと同時に、実る稲穂を育てなければとも思っているわけでして。人生の刈り取りの季節になっても、誰にでも謙虚に頭を垂れている自分であるために。『fumufumu news』にたくさんの稲穂を実らせるために。今後も精進しようと思います。(西)