BSプレミアムで再放送中のNHK連続テレビ小説『芋たこなんきん』に絶賛ハマり中です。

 小説家・田辺聖子さんをモデルにした主人公の町子を演じるのは藤山直美さん。胸キュンの恋愛要素や展開の速さはありませんが、藤山さんの自然な演技が素晴らしく、夫の両親や連れ子たちと同居して作家の仕事に励む日常が丁寧に描かれます。

 いちばんの見どころといえるのが、國村隼さん演じる夫・健次郎との会話。毎晩のように晩酌をしながら仕事や家族のこと、子ども時代の思い出、男女論などをしゃべり続けるのですが、ウィットに富んだ切り返しや相手へのさりげない気遣いに夫婦の関係性が表れ、何気ないセリフの数々には思わず共感させられます。

 ドラマの中ではこんな場面がありました。夫とは必要なこと以外話さないという町子の妹に対し、「しゃべってしゃべって、とことんしゃべらなあかんのは、あんたら夫婦なんやて。夫婦の会話というのはね、業務連絡や子どもの個人面談違うねん」と諭します。続けて「あなたのことどう思てるの? 私のことどう思てるの? ってお互いわかり合わなあかんのんよ。そして楽しまないかんの」と町子は夫婦のあり方を説くのでした。

 どんなに小さなことでも、とにかくしゃべって理解し合っていく。夫婦間の会話が減りつつあるわが身を省みつつ、これから結婚生活を始める人にも贈りたい言葉です。(純)