この言葉をかけてもらった当時、私は社会人になったばかりで、目の前の業務に追われ、毎日食らいついて行くのがやっとの状況でした。そんな私が、経理部内の営業事務として、初めて担当業務を任せてもらった際のエピソードです。

 毎日の定常業務として、営業担当が回収してきた現金の売上処理がありました。作業としては非常に単純で、売上伝票に入金した旨の判を押し、現金と一緒に会計に回す。そのほか、当日入金にならなかったものは、未入金として別で管理を行い、定期的に営業部に入金期日のリマインドを行います。

 当時入社したばかりの私は、見るものすべてが新鮮で、外出先から戻って来る営業社員の先輩たちが特にすてきで格好よく見え、未入金顧客に対して期日内に対応を行わない社員にも、リマインド連絡以外には、強く声を発することができずにいました。

 今考えれば、お客様と営業が約束をした入金期日なので、その期日内にお金が入ってこなければ、営業部に催促をしてもよいし、するべきだったのですが、自分の仕事は彼らと比べて大したことをしていないからと、催促することができずにいたのです。

 そんな矢先に、営業部長だった上司からかけてもらったのが、この言葉でした。

 加えて「たとえ小さな仕事でも、編集Hが“入金”と書かれた判を押して、会計に伝票を回さなければ、会社にはお客様からいただいた代金が入金されることは永遠にない。」そう、声をかけていただきました。

 自身の受け持つ仕事がきちんと機能しなければ、その後どんな影響があるかまで考えることができずにいた私に、優しく激を飛ばしてくださったのでした。

 この言葉をかけてもらって以降、営業部の先輩に対して勇気を持って声をかけることができる様になりました。どんな仕事でも誇りを持つことで、与えられた仕事が“作業”ではなく、“仕事”に変わるということを、若いうちから教えていただき、今でもとても感謝しています。(本)