ここ最近、コトバスケットの場を借りて自分のKIMOCHIを昇華するロングエッセイが続いてしまったので、今回は硬派な映画用語の紹介を(笑)。

「アメリカの夜」という撮影技法を知っていますか?英語ではDay for Nightといい、カメラのレンズに特殊なフィルターを取り付けて、昼間に撮影した映像を夜のシーンに見せる「疑似夜景」のことを言います。もともとは予算的にもスケジュール的にも厳しい時の苦肉の策として、ハリウッドの撮影所から広がったスタイルのためこう呼ばれましたが、現在ではレンズの改良やフィルムの感度が上がってほとんど見られなくなりました。

 でも今回この言葉をお伝えしようと思ったのは、ジョーダン・ピール監督の最新作『NOPE』でこの技法が使われていると小耳にはさんだから。詳しい説明はオーディオビジュアル評論家・堀切日出晴さんの超マニアックな解説を読んでいただくとして。

 フランソワ・トリュフォーの映画、阿部和重の小説、浅川マキのアルバム、宝田明がホストとなり毎回ひとつの撮影技法を解説していく深夜番組(こんな最高な番組やってたんですね!)など、「アメリカの夜」を冠した作品はいくつもあります。そもそもが想像力溢れるストーリーとビジュアル表現で、見たこともない世界を作り出す映画という魔法において、「アメリカの夜」という言葉と意味はロマンがあるなあと思います。

 ちなみにみなさんが好きな撮影監督は誰ですか?私はぶっちぎりでヴィルモス・ジグモンド(『ロング・グッドバイ』『ミッドナイトクロス』など)、次にロジャー・ディーキンス(コーエン兄弟の諸作品など)ですかね。映画仲間、絶賛募集中です!(福)