いつぞやの「慇懃無礼」に続き、四字熟語シリーズ!ということで、今回ご紹介するのは「冷嘲熱罵」です。

「れいちょうねつば」と読み、字面からだいたいおわかりになるかと思いますが、「冷ややかにあざけって、盛んになじり非難すること」(三省堂 新明解四字熟語辞典より)という意味です。

 とくにSNSを中心として、冷笑・嘲笑・揶揄・炎上のムードが蔓延している現代日本。

 ロックバンド・フジファブリックの2008年作に「東京炎上」という曲があるのですが、私が覚えている限りでは、その当時の「炎上」にいまの「炎上」のニュアンスはなかったはず。この十数年で行き着くところまで来てしまったなという印象です。

 つい最近でも2ちゃんの元管理人が、沖縄の基地反対抗議に対してツイートし、物議を醸していましたね。個人的には父が沖縄出身で、私も沖縄慰霊の日に生まれたので、看過できないものがありました。歴史も背景も本質もないがしろにした発言で、本当にデリカシーがないなあと良識を疑うと同時に、ある種の卑しさも感じてしまいました。

 事実を述べただけという向きもあるでしょう。でもその「述べ方」は果たしてどうだったでしょうか。論点をずらしたり言葉尻をあげつらったり、まさに木を見て森を見ずではないかと。こういう方がヒーローのように祭り上げられている日本、マジで大丈夫かなと心配になりましたし、ずいぶん前から憂いております。

 メディアリテラシーの観点においても、一点を捉えたコンテンツ(内容)ではなく、複眼的なコンテキスト(文脈)を把握する力を養いたいものです。

 魑魅魍魎が跳梁跋扈し趨炎附熱するのは世の常ですが、とりあえず寺山修司を気取って、「SNSを捨てよ、町へ出よう」。(福)