一昨日(10月20日)、88歳になられた上皇后美智子さまの“名言”たちを解説した記事をフムニューで配信しました(→「上皇后美智子さま「米寿」で振り返る、私たちの心に響く10のお言葉。あの流行語から意外な“ネガティブ発言”まで」)。この記事で取り上げた以外にも素敵なお言葉は数多くあるので、そのひとつを紹介します。

 透明人間とはいったい……? これは2007年、上皇ご夫妻(当時は天皇・皇后両陛下)のヨーロッパ訪問前の記者会見でのお言葉。海外メディアの記者から「シェイクスピアの作品『ヘンリー5世』の中で、国王は市民の考えを理解するために、普通の人になりすましてその中に入っていきます。両陛下が身分を隠して1日を過ごすことができたら、どこに出かけて何をしたいですか」と問われたときのことです。

 ちなみに、こうした記者会見での質問項目は事前にご本人に伝えられるのが通例ですが、美智子さまは「記憶に誤りがあっては(いけない)」と大学の図書館から本を借り、読み返したうえで会見に臨まれたといいます。そんな律儀さや勤勉さにも頭が下がりますね。

 そして、見に行きたい美術展があったものの警護の関係で実現せず、そのときに「そこを歩く間だけ透明人間のようになれたらなあ、と思いました」というエピソードを明かしました。美智子さまの心の中には、いつまでも想像力豊かな女の子がすんでいるのかもしれません。

 現在は上皇陛下とおふたりで、陛下が使っていた小学校時代の国語の教科書の音読を続けられているとのこと。年齢に関係なく、その知的好奇心はご健在のようです。(純)