突然ですが、11月6日に岐阜市で開催された「ぎふ信長まつり」の騎馬武者行列に織田信長役で登場した木村拓哉氏を見ましたか? 私はネットニュースの写真を見たのですが、いぶし銀のカッコよさで、威風堂堂、すごいオーラでした。まるで映画のワンシーンのような美しさ!

 なにしろ、この日キムタクを見るために岐阜市の人口の40万人を超える人が集まったというのだから、カリスマの力というのはすごい。来年公開の映画で信長を演じる木村氏ですが、稀代の武将・信長本人も圧倒的なカリスマ性があったんだろうなと思います。

 私が読んだ歴史小説では、信長は幸若舞(室町時代に流行した、舞を伴う語りもの)の『敦盛』の「人間五十年 下天の内をくらぶれば 夢幻の如くなり」(読み方:じんかんごじゅうねん げてんのうちをくらぶれば ゆめまぼろしのごとくなり)という一説を好んでいたという記述がありました。実用日本語表現辞典によれば、「人の世の50年間は天界の時間と比すれば夢幻のように儚いものだ」という意味だそうです。多くの民と多くの部下を従えて強大な権力を持っていた信長ですら、この世は夢幻のようであり、すぐに形を変えて行くものだと感じていたということが、ちっぽけな私と同じではないかと勇気になり、好きな言葉になりました。

 もともとはしみじみと世を儚む詞だったようですが、現代では「人間の人生は50年」や「せいぜい50歳で尽きる人生は儚い」という意味で解釈されることが多いそうです。

 翻って現代の信長・木村拓哉氏は50歳を目前にしてもなお、カッコよさを磨き上げ続けています。彼の魅力は夢幻のようには早々、消えなさそうだなと思ったのでした。(知)