コピーライターってすごいですよね。ムダのない、短い言葉で、人々の心を揺さぶる“物語”を生み出せるのですから。私は基本的に文章が長くなってしまいがちな人間で、昔から作文はわりと得意だけれど、俳句や短歌、何かのタイトルなどを作るのは苦手でした。だからテレビCMで、雑誌の表紙で、街中の看板で……胸にガツン、と響くキャッチコピーを目にすると、思わず唸ってしまいます。

 そんな私が毎月のように「う〜、またやられた!」と思ってしまうのが、東京を中心とした駅近の商業ビル『LUMINE』のキャッチコピーたちです。生みの親は、尾形真理子さん。資生堂やキリンビール、NETFLIXなどの企業広告も手がける敏腕コピーライターです。

 LUMINEのキャッチコピーシリーズは、表題の一文のほかにも、「幸せだけ女って上手に隠せない」「こぼれなかった涙も 心の中で乾いていく」「運命を狂わすほどの恋を、女は忘れられる。」等々、女性の共感を誘うものばかり。ですが、どれも自信に満ちあふれたの女性に向けられたものではなく、服やコスメの力を借りて、もう少しだけ自信を持てたら……と考えているような女性に刺さる文句になっているところに、親近感を抱きます

 中でも、今回ご紹介した「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」は、異性・同性関係なく、とっても大好きな人や憧れの人がいたことのある方なら、「うわ〜わかるわ〜」と、しみじみ感じてくれるのではないでしょうか。誰かを思いながら服を選ぶときの、あの恥じらいとウキウキ感が入り混じった特有の感情。私はそれが思い出されて、なんだか心がキュウっとなりました。

 改めて、たった1行が織りなす世界観で、人を魅了させられるって、すごくすてき。みなさんは、キャッチコピーに心をわしづかみにされた経験、ありますか?(横)