今年の夏の甲子園で、山口県代表の下関国際高校を破り、優勝した宮城県代表・仙台育英高校の須江航監督の言葉です。『2022ユーキャン新語・流行語大賞』で選考委員特別賞に輝きました。
 実は、104回を数える大会で東北勢の高校が優勝したのは初めてのこと。この言葉は、その快挙を讃える優勝監督インタビューの中での一節です。少し長いのですが、当時の『朝日新聞デジタル』の記事を引用します。

〜引用開始〜

インタビュワー
今年の3年生は、入学した時から新型コロナウイルスの感染に翻弄されてきました。(略)どんな言葉をかけたいですか?

須江監督
入学どころか、多分おそらく中学校の卒業式もちゃんとできなくて。高校生活っていうのは、僕たち大人が過ごしてききた高校生活とは全く違うんです。青春って、すごく密なので。でもそういうことは全部ダメだ。ダメだと言われて。(略)でも本当にあきらめないでやってくれたこと、でもそれをさせてくれたのは僕たちだけじゃなくて、全国の高校生のみんなが本当にやってくれて。例えば、今日の下関国際さんもそうですけど、大阪桐蔭さんとかそういう目標になるチームがあったから、どんな時でもあきらめないで暗い中でも走って行けたので。本当に全ての高校生の努力のたまものが、ただただ最後ぼくたちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校生に拍手してもらえたらなと思います

〜引用終わり〜

 須江監督は、コロナ禍の中で(仙台育英の)生徒たちを奮い立たせたのは、同じ境遇で頑張っているライバルの存在だと話します。だからこそ「全国の高校生に拍手をしてもらえたらと思います」とインタビューを締めくくりました。
 本来なら、人生の中で最もいろんな体験ができるはずの青春時代に不自由な生活を強いられた生徒たち。須江監督の言葉は自分のチームだけでなく全国の高校生への温かいメッセージになっています。このメッセージを聞いた高校生や保護者の皆さん、関係者は「よくぞ、言ってくれた!」と思ったのではないでしょうか。

「青春って、すごく密なので」思わず繰り返してしまうフレーズです。(文)