世界一短い手紙、というギネス記録をご存じでしょうか。 ギネス記録と言えば「え? そんなのもギネスになるの?」というものがたくさんありますが、そう、”世界一短い手紙”というギネスもあるんです。

 その内容というのが、“?”の一文字、というのもの。 差出人は、かの有名な『レ・ミゼラブル』の作者、ヴィクトル・ユーゴー同作の出版後、売れ行きを気にしたユーゴ―が出版社の担当者に宛てて書いたものだと言われています。(それに対する返事は“!”の一文字。「売れてる?」「売れてるよ!」を互いに一文字ずつだけでやり取りするなんて、何ともオシャレですよね)

 私も編集者、”言葉のプロ”の端くれとして、洗練された美しい文章を日々、追い求めています。ただ、それがやはり難しい。哲学者のパスカルは友人宛ての手紙に「今日は時間がなかったので、手紙が長くなってしまった」と書いたそうです。直感的には「ん? 時間がなかったら、手紙は短くならない?」と感じますが、”文章を吟味し、推敲して洗練させる時間がなかった”ということなのでしょう。美しい文章はすっきりしていて無駄がない。ユーゴ―の手紙はある意味、その最たる例と言えるかもしれません。

 短いながらもセンスが光る。そんな文章を書ける日を夢見て、今日も精進しようと思ったワタクシでした。(え? 今日のコトバスが短い? 手を抜いたんじゃないかって? やだなぁ、当然、無駄なものをそぎ落とした結果ですよ!!)(横)