TVアニメ『チェンソーマン』(集英社/藤本タツキ)の第5話のエンディングテーマにも採用された、アーティスト・syudouの楽曲『インザバックルーム』

 “バックルーム”という言葉は、海外のインターネット掲示板で生まれた都市伝説ホラー空間「The Backrooms」がもとになっていると解釈されています。『インザバックルーム』の歌詞の中では「束縛された空間、不安を掻き立てられる空間」に閉じ込められた憧れや衝動を解放するかのような爽快なフレーズがいくつも登場し、不穏な空気感とメロディーがアニメの作風ともマッチしている楽曲です。

「ジャンクで汚れたこの声で うるせぇ外野を黙らせる」

「さっさと切るべきプライドを 一つも捨てずに成し遂げる」

「一種の若気の至りだと 舐めてた奴らに恥かかす」

 こういう既得権益や社会の抑圧、人の嘲笑といったものを、こちら側からあざ笑うような挑発的な歌詞って、いくつになっても身震いしてしまうくらい好きなんですよね……。私がルサンチマンみたいなのが強い性格だからかもしれませんが、挑戦への原動力は決して前向きだけじゃなくてもいいんだと思わせてくれます

 しかも、「言葉の刃」ではなく、「言葉と刃」なのがすごく良い。アーティストのsyudouさん自身が、“歌詞”という言葉と向き合ってきたからこそ、その重みも危険性も分かっている。その言葉の力が刃となり、批判や抑圧すらも切り裂いていく……。そんな力強さを感じる歌です。(西)