「“クロノスタシス”って知ってる? 知らないと君は言う」(クロノスタシス/きのこ帝国)

 クロノスタシスとは、ギリシャ語の「クロノス(時間)」と、「スタシス(持続)」という言葉が由来になった言葉。速い眼球運動の直後に目にした最初の映像が、長く続いて見えるという、人間の錯覚現象のひとつを意味しています。

 皆さんもアナログ時計に目を向けた瞬間の1秒間、“あれ?なんか秒針遅くない?”と感じることがあるでしょうか? これは「クロノスタシス」により引き起こされた錯覚現象であり、脳が認識している時間軸と、感覚で認識する時間軸に一瞬のズレが生じることから起こります。

 冒頭で紹介した、きのこ帝国の楽曲『クロノスタシス』でも

「時計の針が止まって見える現象のことだよ」

と説明してくれています。この曲、夏の少しだけ涼しい夜に聞くのがいいんですよね。350mlの缶ビール買って♪(歌詞参照)

 

 話を戻しますが、このクロノスタシス。しっかりと名前が存在するということを知ってガッカリしたのを覚えています。子どものころ、“時計が止まって見える”現象に気づいたとき

「まさか、俺の空間が歪んでいる……?」

 という、なんともいえない優越感と、肥大化した中二心を存分に満たしてくれたことを覚えています。

「そうか……この時空の歪みは俺にしか認識できない。つまり、俺は選ばれたのか。は! ということは、歪みの狭間にある何かが、俺を誘おうとしている……? なるほど、いいだろう。フフ……。のんきに遊んでいる貴様らにはわからないだろうな! さすれば敗者として、黙って歴史に名を刻むがいい! ハハハ!!」

 と、割と本気で思っていました。まあね、刻んだのは私の黒歴史だったんですけども(笑)(笑)(笑)クイズの答えは、カクテルパーティー効果です!

 実はこのように、“この現象、自分だけ?”と感じているものには、しっかりとした名前があるパターンがたくさんあります。クロノスタシスも初めて知ったときは、“なんだ……自分だけの現象じゃないのか……”とガッカリしましたが、同時に、まだまだ知らない言葉と現象がこの世界にあるんだなとワクワクしたのもまた事実。そういう意味では中二病マックスのあの“黒歴史”も、まったく無駄ではなかったのかなと思えます。

 せっかくなので、最後に恒例のクイズを出しましょう!

「ざわついた空間や眠いときでも、自分にかかわる情報が少しでも耳に入った瞬間に、その情報を無意識に識別できる働き」は、下の3つのうちどれでしょうか?

① カクテルパーティー効果

② エコーチャンバー現象

③ ジャネーの法則

 

 答えは……。実はもう、文中に書いてあります!!クイズの答えは調べればわかると思いますが、ぜひ文章内でも探してみてください。来週木曜朝5時に正解を発表します(西)