いやぁ、今年の『M-1グランプリ2022』も面白かったですね! 個人的に真空ジェシカとウエストランドを応援していたのですが、ウエストランドが優勝を勝ち取った瞬間は、自宅で雄叫びを上げました。私の大好きな爆笑問題の事務所、タイタンからの刺客がキングになったということが、とてもうれしかったです。

 M-1でのウエストランドのキャッチコピーは「小市民怒涛の叫び」。その名の通り、ボケの井口浩之氏がアイドルやYouTuber、劇団員、路上ミュージシャン、果てはM-1にまで毒を吐く。「(YouTuberが)警察に捕まり始めている!」というボケが面白すぎて、もう10回以上はウエストランドの漫才をTVerで繰り返し再生しています。

 東野幸治氏に「笑いの神様からおしゃべり以外、全てを取り上げられた男」と称される井口氏。確かに身長は高くないし、顔もイケメンとは言えない。性格も(多分)卑屈で歪んでいる。ただ、そのみなぎる「俺以外の人間に対する行き場のない怒り」をとんでもない表現力と語彙力で笑いに変換してしまうテクニックは、もはや神業。ただの悪口なのに誰も寄せ付けない強さと爽快感を持っており、まるでエミネムの『Lose yourself』を聴いている時のような無双感を覚えてしまいます。

 優勝して、井口氏が語ったひと言が今回のコトバスです。これまでこの世界において、自分は取るに足らない脇役で、主役になんかなれっこないと思っていた……そんな井口氏の気持ちが読み取れます。それが漫才で努力して、てっぺんを取ることができた。自分の刃を磨き続けて手に入れた主役の座に、同じ卑屈族の私も、大きな勇気をもらいました。これからのウエストランドの活躍を期待しています!(知)