毎年1月中旬に、皇居で行われる『歌会始の儀』。天皇・皇后両陛下の前で、皇族の方々が作った和歌や一般から選ばれた和歌が発表される宮中行事です。人々が集まって共通のお題で歌を披露する「歌会」は奈良時代に始まったそうで、古式ゆかしい節回しで朗々と和歌が詠み上げられる雅(みやび)な催しに、悠久の時を感じずにはいられません。

 詩歌をほとんど嗜(たしな)まない私ですが今回、心に刺さった一首がありました。山梨県の中学2年生・小宮山碧生さんの作品で、ユニークなあだ名をつけてくれた同級生との友情を大切にしていきたい思いを込めたものだそうです(ちなみに今年のお題は「友」でした)。

 短歌といえば伝統的な古語が使われたりして、それはそれで格調高く文学的な情緒も味わえるのですが、小宮山さんの歌は若い人ならではの自由な表現がとても瑞々しく伸びやかで、まるでJ-POPの歌詞のよう(?)。

 自分がつけたあだ名を気に入ってくれて、「他のやつには呼ばせない」なんて言われたら親友冥利に尽きますよね。青春っていいな。自分にはそんなマブダチ、いたっけか……と思わず省みてしまいました。(純)