知らんけど、推し、エモい、世界線、尊い……現代になってはじめて出てきた言葉や、昔から使われていた言葉が今になって流行(はや)ることがありますが、個人的に最近使われるなと思うのが、“解像度”

 解像度は元来、《ビットマップ画像やデジタル画における画素の密度を示す数値》を意味しています。画像がどれくらい細部まで表現できるかを示すための指標になり、基本は高い・低いという尺度で測られます

 この、「どれくらい細部まで表現できるかを示すための指標」という意味合いから、ビジネスの場面でも、“もっと解像度を上げろ(もっと具体的にしろ)”という使い方が増えてきました。オタク同士の会話の中でも、推しキャラと同じ服装をしたり、推しへの思いを具体的なエピソードとともに語れると、“解像度上がるわー”とか“それ、解像度高くない?(笑)”という言い回しがされることも多い気がします。

 また、シンガーソングライター・なとりさんが2022年9月にリリースした楽曲『Overdose』のサビでは「解像度の悪い夢を見たい」という歌詞が登場し、この曲が若者を中心に大ヒット。

 世はまさに、“大解像度時代”。再現性が高く具体性を帯びたもの、つまり解像度が高いものにポジティブな意味合いが集約されるのは、ネットやSNSに混在するデマや真実、その有象無象の大海原で、人々がしがみつくための流木のような概念だからなのかもしれません。(西)