先日、「恵比寿映像祭2023」に行ってきました!2009年から年に一度開催されている、映像とアートの国際フェスティバルです。

 今年も山沢栄子の抽象的で色鮮やかな写真、ホウコォキュウの鉄パイプでぶち抜かれたディスプレイ群、細倉真弓によるモノクロ写真のインスタレーションなど、ハッとさせられる作品が多数展示されていました。

 なかでもぶっ飛んでいてテンションが上がったのが、ルー・ヤンのデジタルアニメーション『DOKU THE SELF』の上映。

 ルー・ヤンは上海出身のアーティストで、『子宮戦士』なるシュールなSFバトルアニメーションを作ったり、死んだカエルをMIDI音源で操作したり、自分の顔を大凧にして長髪をなびかせながら大空に舞わせたり、エッジーな作風で知られています。

 この『DOKU THE SELF』は、ルー・ヤンが2020年から取り組んでいる『DOKU』シリーズの最新作で、主人公は作家本人の「デジタル転生」であるDOKU。仏教の六道(衆生がその業によっておもむく六種の世界。地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道)が具現化されたキャラクターが入れ代わり立ち代わり舞いながら、我とは?知覚とは?生死とは?が問いかけられます。

 哲学、科学、宗教、ファッション、ダンス、音楽から聖闘士星矢、エヴァ、駕籠真太郎、小島秀夫まで横断しながら、仏教×サブカルチャーの宇宙空間へ。過剰で過激、バッキバキの極彩色ビジュアルが好きなので、この作品も大好物でした。

ルー・ヤン〈DOKU(ルー・ヤンのデジタル転生)〉2020年~[参考図版] 出品協力:スパイラル/株式会社ワコールアートセンター ※「恵比寿映像祭2023」ホームページより

 劇中、ルーレットになった六道輪廻図が描かれるのですが、その遠景に見えるのがDOKUの名前の由来にもなった言葉「独生独死独去独来(どくしょうどくしどっこどくらい)」です。

 仏教の経典『仏説無量寿経』にあり、「人は一人で生まれ、一人で死ぬ。この世に来たときが一人なら、去るのも一人。誰も代わることができない」という意味です。

 つまるところ、現実世界であれ仮想空間であれ、人は根源的には孤独であるということではないでしょうか。

 私はどんなに近しい距離、親しい仲、大切に思っている人とでも、人と人とは究極的にはわかり合えないものだと思っています。見ている世界、考え、感じ方、なにひとつ同じものはないので。でもだからこそ、個が個として孤独のままで、支え合ったり励まし合ったり寄り添ったり高め合ったりして、己と他者を探究しながら生きていくこと自体が、人間が人間たるゆえんだとも思うのです。

 ちなみに『DOKU THE SELF』はルー・ヤンのVimeoでも公開されているので、興味のある方は見てみてください!(福)

 

DOKU the Self from LuYang on Vimeo.