野球のルールをほとんど知らない私が、白熱する試合展開に心を熱くしたWBC。恥ずかしながら、夫にルールを解説してもらいつつ、人生で初めて野球の試合をきちんと見ました。

 亡くなった父がよく「野球なんて試合展開が遅くてつまらない」と言っていたっけ。そのおかげでわが家ではナイター中継も全く見たことがありませんでした。ルールどころかセリーグ・パリーグの違いもよくわかっていない(何回聞いてもジャイアンツがセリーグかパリーグか覚えられない)私が、やっと気づいた野球の面白さ。

 それはやっぱり、有言実行、ミラクルを起こしまくる大スター・大谷翔平の強力すぎる磁力が、鉄成分が0.001%以下くらいの私のような人間まで惹きつけたからだと思います。

 大谷ってすごいな、自分とは全然違う、神様を超えた存在だ。そんなふうに切り離すこともできるけれど、この大スターは私のような卑小な人間にも、何かの種を心に植え付けてくれたように思います。

 それと同時に思い出したのが、サッポロ生ビール黒ラベルのコピー「丸くなるな、星になれ。」でした。

 大人になって丸くなること、悪いことじゃないじゃない。不惑を超えてそう思っていました。でも、やっぱり削られ続けた小石のように風に消えていくより、星を目指すのはカッコいい。星になろうとすることを恥ずかしがったり、諦めたりしなくてもいいんだ、そんなふうに思いました。

 でも今のところぼんやり生きすぎていて、自分にとっての星がどういう形なのか、色なのか、わからないのですが。死ぬまでの間に、答えを見つけられたら。(知)