先日、とある映画の0号試写を鑑賞する機会がありました。
0号試写とは初号試写より前の、制作陣や映倫のチェック用、映画にかかわる関係者に向けたもの。
その作品はエンドロール部分が未完成、主題歌も解禁前のまさにできたてホヤホヤといった感じでした。
いつものようにエンドロールが終わるまで映画をくまなく観ていると、脚本のクレジットにこう記されていました。
「アラン・スミシー」。
みなさん、この人が誰だかわかりますか?
私は胸中、「うぉおおお!!この名前、久しぶりに観た!!!!」とテンション爆上がりでした。
「アラン・スミシー」、実は架空の映画監督の名前なんです。「The alias men(実在しない人)」をアナグラムにすると、「Alan Smithee」といかにも人名っぽくなりますよね。
たとえば監督が降板したとき、監督と呼べるスタッフがいないとき、会社やプロデューサーの命令で監督の意図とはまったく違う作品に編集されてしまい、自分の名前を出したくないときなどに使われていました。全米監督協会の審査・認定のもと、完成した作品に「アラン・スミシー」という偽名を用いることができたのです。
狭義にはアメリカ映画で1968年から1999年まで使われていて、2000年代以降は使用されなくなりましたが、いまもちらほら見受けられる名前です。
今回の作品に限っては名前を伏せたい脚本家が遊び心でそうしたのか、脚本家が複数いるのか、とりあえず仮で入れたのか。
ともかく、劇場公開される暁にはどんな名前になっているのかが気になる、いち映画ファンでありました。(福)