「ジュリアに傷心」は売野の最大の苦労曲、「涙のリクエスト」は“押さえ”だった
その中で第1位は、'84年末に5作目のシングルとしてリリースされた「ジュリアに傷心(ハートブレイク)」。昭和のレコード売り上げも、平成後期に多かったダウンロードでも、そして今回の令和のストリーミングでもチェッカーズの中で堂々1位となった。
この感想を売野に尋ねると、
「まあ、この詞は5回書き直しという自分史上、最高記録を出した作品だから(笑)、この順位は妥当だろうね。でも、もっとうれしいのは『涙のリクエスト』(14位)も、ちゃんと聴いてもらえているということかな」
とのこと。注釈すると、「ジュリアに傷心」は、作曲の芹澤廣明からなかなかOKが出ずに途中、「もう他の作家に替えてくれ」と思ったほど大変だったという。また「涙のリクエスト」のほうは、売野が発注された内容とは別に“押さえ”のつもりで書いた歌詞。当時チェッカーズがやっていたドゥー・ワップ('50年半ばにア
「星屑のステージ」のヒントは「喝采」、当時はシングルを想定していなかった
そして、Spotify2位にはシングル売り上げでは4番手の「星屑のステージ」がランクイン、しかもトップの「ジュリアに傷心」と接戦で健闘している。一般的に、サブスクではバラードやマイナー調の楽曲は順位が低めになることを考えると、これは相当な人気といえよう。ちなみに、「ジュリアに傷心」も「星屑のステージ」も、9割以上が国内で再生されている。つまり、「星屑のステージ」は、懐メロ番組や主題歌となった当時のドラマ『うちの子にかぎって…』(TBS系)がらみで紹介されることで、国内の幅広いリスナーに広がっていると考えられる。
「『星屑のステージ』は、“ちあきなおみの『喝采』のような詞を書いてほしい”とプロデューサーから言われて、チェッカーズとファンの子の関係を歌った、私小説的なものを書けばいいと思って作ったんだ。でも、まさかシングルなるとは思っていなかったので、力まずにわりと早く書けたかな」
そのストレートな思いが、チェッカーズの演奏や歌声の力強さも相まって、現在での大人気につながっているのかもしれない。