性的動画を消そうとしたが、「お前には関係ない」とケータイを奪い返された

 もうひとつは、リベンジポルノの問題が犯行動機にかかわっていたから

 高校時代、彩乃は健太さんから性的動画撮影を求められて、最初は断ったが、「前の彼女はオーケーした」と言われて承諾。別れた後、何度も消去を頼んだが、拒否されていた。

 延期になっていた留学が1か月後に迫り、それまでに動画を消去しなければ、と事件の前日、健太さんの携帯電話を奪ったが、「お前には関係ない」と怒鳴られて奪い返されたという。

 彩乃は、健太さんから「動画をインスタのストーリーに上げるからな」と言われて、「頭が真っ白になった」と証言。「(犯行時は)一瞬のことで、何も考えられなかった。後で振り返ってみれば、動画を拡散されたくなかったんだろうな、と思う」

 健太さんの発言などから、動画はすでに拡散されたと思っていた。「これ以上の拡散を防ぎたかった」と。

 彩乃が性的動画を拡散されることを非常に嫌悪したのには、理由があった。中学3年のとき、妊娠中絶が同級生に発覚して噂になり、不登校に。病院で診察を受けたが、そのとき医師に責められた母が泣いたことから、「母親を悲しませたくない」と通院を中止。高校に進学してからは、通学できるようになったが、そのときの経験が大きなトラウマになっていた。

 「動画の存在は誰にも言えなかった。妊娠したときのように知人から“もう知ってるよ”と言われたら……。そういう動画を撮らせるような女性だと思われたくなった」と。

 彩乃と13回面談をして精神鑑定した医師は、「性的動画を第三者に見られたくないのは当然のこと。被害者に対する不信感、不快感、恐怖感、怒りなどが募り、衝動的に犯行を行った」と証言。「犯行時のことを尋ねると、核心部分については“わからないです” “話したくないです”と何も答えない状態だった」と。面談中、過呼吸状態になって、会話が中断することもあったという。