愛聴している『安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ)の4月23日のトークゲストがみうらじゅんさんでした。さすがみうらさん、話すエピソードエピソード、爆笑の連続。安住アナも笑いのK点を超えて「キーッ! キーッ!」というこけしの首を回したみたいな悲鳴に似た引き笑いの声をあげていました。
みうらさんは最近、敬愛するボブ・ディランの来日公演を観に行ったそうです。ボブ・ディランは現在81歳。薄暗い照明の中、ピアノを弾きながら歌っていたのですが、そのときに一瞬、若いころのディランの声が聴こえたんだそう。
「若いころから年を取るのって(年表みたいに)横に写真がある(並ぶ)ものと思ってたけど、(ボブディランを観て)縦並びなんだと。いちばん奥に若いころのディランがいて、今のディランがピアノに座っておられる感じで。後ろから若いエキスがしみ出て、たまに若い声が聴こえる。人って縦にものを考えるべきなんだなって」とみうらさんは実感したといいます。
この捉え方になるほど! と思いました。歳をとることは過去の若さから絶縁してしまうことではなくて、地層のように年月が堆積していて、あるとき底のほうの若い地層が見える瞬間がある。
それに続けてみうらさんは言います。「そしたら『比較三原則』にもならない。若いころのほうがいいとかじゃなくて、(人は)バームクーヘンみたいに層になっているから」と。
比較三原則……??? これはみうらさんの造語で、「過去の自分、両親、他人。その3つと自分を比べてはいけない」というスローガン(?)とのこと。確かに他人と比べて肩を落とすことは多いですが、年齢を重ねると過去の自分と比べてダウナーになるときもあるんだよな……!
ふざけているのかと思いきや、突然、仏教の悟りに似た考えや核心をついたことを言うみうらさん。「比較三原則」はなかなか実行するには難しいスローガンですが、心に刻んでおきたいと思いました。(知)