先日、NHKのETV特集「ひとりだけど、ひとりじゃない」を観ました。

 番組の紹介文を引用します。

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2040年には全世帯の4割を単独世帯が占めるとみられる日本。身寄りのないことが当たり前になる「身寄りなし社会」が到来する中、当事者同士が互いに支え合って生きる「鹿児島ゆくさの会」の試みが注目されている。会員は約130人。一人になった経緯はそれぞれ違う。孤立を防ぐ切り札として期待されているが、元々は赤の他人同士。時にはすれ違いや衝突もある。その営みを通して、人と関わり合いながら生きる意味を見つめる。

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 なんというか、いろんな思いで胸がいっぱいになって、複雑な気持ちがこみ上げてきて、うまく言語化できません。

 とりわけ「あなたのことを気にかけているよ」「忘れていないよ」という意味を込めて、初老男性が年賀状にスタンプを押す姿が映ったのですが、こらえ切れずに大粒の涙がぼろぼろこぼれてしまいました。

 というのも、私はひとりっ子の単身者です。

 ちょうどこの番組に出会う前、とある検査の書類に「あなたが最も頼りにしている人は誰ですか?」という項目があったんです。

 少し考えた後、「自分」と書いている我が身にハッとしました。

「自分の心身、仕事とお金、老後についてすこぶる不安。でも高齢の両親に心配かけたくない、兄弟姉妹も配偶者も子供もいない、親戚も近くにいない、友達も仕事仲間もそれぞれの生活や事情があって大変だろうしそこまで踏み込めない。となると、ひたすら貯金して公的サービスに頼るしかないのかな…」と。

 ないない尽くしのなかで、「自分の人生は自分で舵取りする」という意志と覚悟だけはある。どんなときも強く優しくありたい。でも、不安だなあ。

 そんななかでの「ひとりだけど、ひとりじゃない」だったので、沁みて沁みて。

 各種手当や給付金など、子育て世帯や高齢者世帯への支援を充実させることは、もちろん大切なことだと思います。

 でも、一番コンパクトで省エネでSDGsだと思われる我々単身者にももっと目を向けて、優しくしてほしいです(笑)あ、多田尋子の『単身者たち』が読みたくなってきた!(福)